【これだけは知っておこう!】建物の工事着手までの流れ

建物の工事着手までの流れ

その②

設計契約

「建物の工事着手までの流れ」は4部構成となっています。

それでは、ご覧ください。

設計契約

設計者に設計を進めて貰うためには設計契約が必要となります。一般的には、基本プランまでは、無料で行います。あなたにとっても、この設計者がどんな設計をするのか分からないのに、いきなり契約を結んで契約金を支払うのは抵抗がありますよね。ですので、設計者も基本プランを気に入ってくれたら設計契約を締結するという意識がありますので、安心してください。念のため、トラブルを避けるためにも「基本プランは費用が掛かりますか」と聞いておくのも良いですね。また、コンペ等を実施する場合は、各設計者もプレゼン資料を作成するのに相当な労力を使いますので、多少の設計料の請求を受けることや、あえて支払うことが必要ということも理解してください。

さまざまな過程を経て、依頼する設計者が決定したら、設計契約を締結しましょう。

建築設計・管理業務委託契約書

設計契約の契約書はこのような感じです。

設計者にどこまで依頼するかによって書面は変わります。基本設計実施設計設計監理(詳しくは別の機会にお話します。)の全てを依頼するのが一般的でして、これはその契約書になります。

また、皆さんが想像する設計者はデザインをする設計者だと思いますが、それはそれで合っているのですが、正確には意匠(いしょう)設計と言います。しかし、意匠設計だけでは建物は設計できません。構造設計設備設計も必要となります。一般的な住宅の規模であれば、意匠設計と設備設計は兼用することが多いです。木造2階建てまでであれば、意匠設計が構造設計を行うことが多々ありますが、基本的には構造設計は外部に委託することが多いです。

ですが、建築主であるあなたと契約するのはほとんどが意匠設計の設計事務所になります。構造設計は意匠設計が手配をする形で進んでいきます。そんな目に見えにくい内部事情に関して「待った」がかかり、こちらの「重要事項説明書(建築士法第24条の7)」も設計契約締結前に交付されることになりました。

重要事項説明書

これは、平成20年の建築士法改正により義務づけられたものです。ご存知の方も多いかと思いますが、平成17年に発覚した耐震偽装事件(通称:姉歯事件)により、それ以前は不透明だった設計業務内容や取引条件を消費者(あなた)に対して確認し、理解してもらうねらいがあります。住まい等の賃貸契約時に、不動産会社等において宅建士が免許証を提示して重要事項説明を行う場面を経験されたことがあるかと思います。それと同じような感じでして、建築設計の重要事項説明も同様に建築士(一級・二級・木造)が免許証を提示して説明を行います。

主な記載事項は下記となります。

  • 1)対象となる建築物の概要
  • 2)作成する設計図書の種類(平面図・立面図・断面図等)
  • 3)工事と設計図書との照合の方法及び工事監理の実施の状況に関する報告の方法
  • 4)設計又は工事監理の一部を委託する場合の計画(有無・名称)
  • 5)設計又は工事監理に従事することとなる建築士・建築設備士
  • 6)報酬の額及び支払いの時期
  • 7)契約の解除に関する事項
  • 8)説明する建築士の氏名と資格(基本的には建築士事務所の管理建築士が説明します。)

建築設計・設計監理業務委託契約約款

これらの説明を受けたら建築主(あなた)は署名又は記名押印を行います。

これ以外に、「建築設計・設計監理業務委託契約約款」の小冊子があり、契約上の規定等が載っており、契約書とセットで交付されます。約款に関しては別の機会にお話しさせて頂きます。

以上をもって各2通、建築主(あなた)と設計者が必要箇所の記名押印を行い、設計契約が成立しました。

設計契約に関する注意事項

Point

平成27年6月25日に施行された改正建築士法では、延べ面積300㎡超の建築物の新築工事等に係る設計・工事監理業務ついて、書面による契約が義務づけられました。ですので、300㎡以下や新築工事以外(リフォーム等)の契約に関しては書面による契約締結の対象にはなりません。但し、重要事項説明は規模や新築工事・リフォーム等の工事内容にかかわりなく建築士事務所が設計又は工事監理の契約を行うとする場合には、義務づけられていますので注意してください。

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