【知っ得】新築トラブル回避 契約編
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念願かなってようやく建ちましたね。
新たな生活と、待ち受けるローン返済・・・楽しく頑張りましょう!
さて、住宅の新築工事において、やはり人が造る物なので、完成した建物に何も問題がないことはありません。
些細な事から大事件まで、何かしらの問題は発生してしまうのが新築住宅です。
トラブルに直面した時、あなたはどうするか!?
そして、できれば回避したいですよね、トラブルなんて!?
ですので、できる限りトラブルを回避できるようにアドバイスをお伝えしたいと思います。
本日は、契約編とさせて頂きます。
(契約時のトラブル回避なので既に契約済み、建物が完成済みのあなたには今後に役立てて頂ければと思います。)
工事請負契約
まずはここから始まりますね。あなたが施主となり、施工会社に新築工事を依頼することにより建築工事請負契約は締結されます。契約の流れに関してはこちらに記載していますので、読んでください。
トラブル回避のキーワード
結論からお伝えしますが、トラブル回避としてのキーワードは下記になります。
工事費用の支払方法に決まりはない
工事請負契約書の記載事項
建築工事請負契約において、
- ①工事請負契約書
- ②設計図書
- ③工事見積もり書 ④工事請負契約約款
は最低限必要な書類になります。②と③に関しては、この工事請負契約に至るまでに設計者に要望を出して何度も修正して貰った設計図面であったり、自分の予算とにらめっこをしながら相談していた施工会社が提出した工事見積もり書になりますのであなたは既に知っている内容になります。では、①と④はいかがでしょうか?契約となった時に初めて出て来たので、これは何?ってなってしまいますよね。
工事請負契約書の確認
というこで、まず①に関してですが、「契約書」なので誰もが構えてしまい、騙されないぞと思い内容を熟読することになると思います。
といった感じで心の声が聞こえそうな感じで契約書とにらめっこしなかがら書かれている内容を確認していくことになります。
そうなんです、書かれている内容を確認していきますが、施工会社も何度も確認して契約書を作成していますので、当然に書かれている内容はあっています。
では、どこにトラブル回避のポイントが???
そうなんです、実は 支払条件 にあります。
支払条件
施工会社から支払いは契約時、中間時(1~2回)、完了時の3~4回に分けて良いでしょうかなど事前に確認されるかと思いますが、実は選択肢は回数だけではないんです。建設業法では、支払条件の細かい指定はしていません。あくまで双方が合意した上での契約となっていますので話し合いをして決めていきます。
例えば施主であるあなたが仮に建物が完成したら全部一括で払いますといっても、民法(第633条報酬の支払時期 目的物引渡しと同時)では通用しますが、建設業法の建設工事の請負契約では通用しませんので、施工会社からは拒否されます。
また、金額が大きいので施工会社も順々に工事代金を支払って貰わないと立替払いが大きくなり経営が難しくなったりします。かと言って、契約時に全額支払ってくださいと施工会社が言ったとしても、目的物の引渡と報酬の支払いは原則として同時履行の関係となっていますのであなたは拒否することが出来ます。
このようなやり取りの上、分割回数を決めた回数と費用が契約書に記載されることになります。
ここで知っておいて欲しいこととして
住宅(新築)のトラブルは完成後1年以内に発生することが80%である
誰も悪気がある訳ではありません。工事に関わる人達はコツコツと一生懸命建物を造っていくのですが、どんなに注意を払っていても、雨漏りが発生してしまったり、扉が開きづらかったり、変な隙間があったり、早速錆びていたりといった問題が発生することがあります。通常の施工会社であれば真摯に対応していくことになります。
しかし、時と場合によってはいつまで補修作業をやっているんだといった事態にまで発展することもあります。
さらには、補修から逃げる施工会社に依頼してしまったということもあるかもしれません・・・
ですので、トラブル回避契約編としてのアドバイスとして
竣工1年後に契約金額の10%(仮)を支払う
という方法があるということです。工事費用も全部払ってしまった、ほんとうにこの欠陥は直るのだろうか等、あなた自身不安に押しつぶされそうになりますが、いずれは支払うにしても残金を残すことにより、心情的なことですが、だいぶ救われることになると思います。ただし、あくまで、双方が納得しての契約ですので、この提案をして施工会社が受け入れるかは分かりませんし、強制力はありませんのでその点ご了承ください。さらに、住宅ローンを組む場合、建物竣工時の支払いに関して銀行との調整が必要になり、登記の問題も発生しますので、建築士、弁護士等に事前に相談をするようにしてください。
1年点検
ちなみに、ほとんどの場合、竣工1年後に実施する「1年点検」というものがありますので、細かな不具合はここで全部直して貰うというのが一般的な流れです。その点も踏まえて、あなたと施工会社で契約日までに様々な提案をしてみるのが良いと思います。
工事請負契約約款の確認
次に、あまり気にされないけど実は重要な④「工事請負契約約款」です。
この約款は薄っぺらい冊子になっています。ほんとうに薄っぺらいです。海外の同様の約款はもっと分厚く書かれていて内容もとても複雑です。
しかし、日本の約款は薄っぺらいんです、ほんとうに・・・
ざっと書かれている内容はこんな感じです。
- 第1条 総則
- 第1条の2 用語の定義
- 第2条 敷地、工事用地
- 第3条 関連工事の調整
- 第4条 請負代金内訳書、工程表
- 第5条 一括下請負、一括委任の禁止
- 第6条 権利、義務の譲渡などの禁止
- 第7条 特許権等の使用
- 第8条 保証人(本条は任意に保証人を立てる場合に適用する。)
- 第9条 監理者
- 第10条 現場代理人、監理技術者など
- 第11条 履行報告
- 第12条 工事関係者についての異議
- 第13条 工事材料、建築設備の機器、施工用機器
- 第14条 支給材料、貸与品
- 第15条 発注者の立会い
- 第16条 設計及び施工条件の疑義、相違など
- 第17条 工事用図書の通りに実施されていない施工
- 第18条 損害の防止
- 第19条 第三者損害
- 第20条 施工について生じた損害
- 第21条 不可抗力による損害
- 第22条 損害保険
- 第23条 完成、検査
- 第23条の2 法定検査
- 第23条の3 その他の検査
- 第24条 部分使用
- 第25条 部分引渡し
- 第26条 請求、支払、引渡し
- 第27条 瑕疵の担保
- 第27条の2 新築住宅の瑕疵の担保
- 第28条 工事の変更、工期の変更
- 第29条 請負代金額の変更
- 第30条 履行遅滞、違約金
- 第31条 発注者の中止権、解除権
- 第32条 受注者の中止権、解除権
- 第33条 解除に伴う措置
- 第34条 紛争の解決
- 第35条 補則
- ※民間の工事請負契約約款の例です。発行機関により多少内容が異なります。
はい、そうなんです、それなりに書いてあるんですね。でも、条文は結構あるんですが15ページぐらいの冊子です。やっぱり薄い・・・。
発注者(施主)と受注者(施工会社)の双方の関係性が書かれています。契約工期に間に合わなかったりとか、工事代金を支払わないとか、起こりうるトラブルに対して双方にとっての罰則等が記載されています。ある意味、一般的なことしか書かれていませんので前項のような支払いをどうしなさいとかの記載はありません。ですので、双方が納得するように話し合いをして契約を締結するようにしてください。
こうじゃなきゃいけないということはありませんので。
そして、ここもポイントになります。
工事契約約款もまた双方合意により内容を付け足したり、ある条文を適用しないとしたりすることが可能となります。
但し、法文を扱うことになりますので、弁護士等の力を借りる必要は出てきますのでご注意ください。そして施工会社から約款の変更提案がでることはほとんどありません。
まとめ
新築時のトラブル回避として、契約時に注意することをまとめました。
- 建築請負契約に絶対の記載はない
- 双方納得する契約を心掛けること
- 工事請負契約約款も双方合意で内容を変更することができる
- 一生に一度の契約、書かれた内容の確認の前に、何を記載するかを考えよう
この辺りを注意して、建築工事請負契約にのぞんで頂ければと思います。
それでは、あなたの素晴らしい家が建ちますように!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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